五感情報通信技術に関する調査研究会(第7回)議事要旨
1.日 時:平成13年6月29日(金)10:00〜12:00
2.場 所:経済産業省別館 821会議室
3.出席者(順不同、敬称略)
座 長 廣瀬(東京大)
構成員
池井(都立科技大)、
片桐(ATR)、
阪田(NEC)、
土井(東芝)、
鳥居(代理 近藤氏 味の素)、
中山(CRL)、
西条(富山医科薬科大)
平原(NTT)、
広田(東京大)、
畚野(SCAT)、
森泉(東工大)、
安田(代理 青木氏 東京大)
事務局
田中技術総括審議官
松井技術政策課長、
島田課長補佐、
福本係長、
小川(技術政策課)
4配布資料
資料7−1 五感情報技術に関する調査研究会(第6回会合)議事要旨(案)
資料7−2 報告書(案)
資料7−3 報告書(案)概要
5 議事の概要
(1) 開会
(2) 議事
@ 第6回会合の議事要旨の確認
事務局より資料7−1に基づき説明。コメントがあれば事務局まで連絡することとした。
7.報告書(案)について
報告書第1章について事務局より、章について各執筆担当者より、変更点を中心に説明。
【主な質疑応答】
平原構成員:各感覚の進展度合いの図における聴覚について、センシングと再生・表現の間に差があるのはどうしてか。3Dの再生・表現については難しい点もあるが、音響学の理論的部分に差はない。3D部分を除けば視覚に遜色ない進展度合いである。
事務局:これまでの研究会の議論の中で、視覚についての研究が進んでいるとの認識はあるが、聴覚については視覚に比べ若干遅れているという議論があった。
廣瀬座長:センシングに比べ、再生・表現の方が難しいであろうというイメージがあるということではないか。視覚を基準としているので、視覚に比べ進展度合いがどうかということになる。
平原構成員:視覚にとってカメラとディスプレイの関係は、聴覚にとってはマイクロフォンとステレオスピーカの関係ということになり、この点から考えると視覚に対し聴覚は遜色がない。3Dを考えた場合でも視覚と聴覚は同じレベルと考えられる。生理学的知見については、視覚より遅れている。
廣瀬座長:歴史的にみると聴覚の研究のほうが視覚より先行して始まっている。聴覚は視覚と同じレベルにしてもよいのではないか。
事務局:最初は視覚と聴覚は同じレベルとしていたが、これまでの議論を反映し差をつけた。
廣瀬座長:途中から視覚の研究が聴覚に比べ優先度が高くなった。視覚と聴覚の差は技術レベルの問題ではなく、直感的なものである
森泉構成員:ここで強調すべきことは、視覚・聴覚と他の感覚の間の進展度合いに大きな差があるという点ではないか。
廣瀬座長:聴覚のセンシング、再生・表現部分をもう少し上げる。脳内過程については、低いか。
平原構成員:低い。生理学的知見は現在のままで、センシング、再生・表現部分をもう少し上げる。
阪田構成員:他をもっと下げて差を際立たせるのがよいのではないか。聴覚の脳内過程と触覚のセンシングに差をつけたほうがよいのではないか。
広田構成員:視覚を基準としているので、異なる項目の比較は意味がないのではないか。
廣瀬座長:触覚のセンシングについてカメラと比べた場合、センサーグローブなどの技術はもう少し低いのではないか。
広田構成員:物理的な意味はわかっているが、触覚の密度で捕らえることが難しい。
近藤:味覚の脳内過程はもっと低い。再生・表現については0に近いのではないか。
廣瀬座長:味覚・嗅覚については、脳内過程を若干低くし、再生・表現をグッと低くする。触覚はちょうどバランスしている。
池井座長代理:触覚デバイスはできていないので、右半分を下げる。
廣瀬座長:触覚のデバイスについては、視覚の半分以下かもしれない。触覚の理論・原理とデバイスの間に差をつける必要があるのではないか。
広田構成員:原則的にデバイスが理論・原理を超えることはないのではないか。
島田課長:これまでのご意見を反映して各感覚の進展度合いの図を修正し、再度確認いただく。
廣瀬座長:年表については、触覚の生理学的な話が抜けている。
池井座長代理:もう一度調べてみる。
土井構成員:90年代の聴覚におけるMPEG−1、DVDは、視覚ではないか。
事務局:MPEGについては、共通項目に入っている。
平原構成員:DVDはDigital Versatile Disk であり、Digital Video Disk ではない。広帯域なDVDオーディオなどもあり「聴覚」にとっても重要である
事務局:DVDも視覚・聴覚共通ということで共通項目に入れる。
廣瀬座長:2000年のテレイマージョンは触覚よりも視覚に入れるべきではないか。
近藤氏:味覚の2000年に旨味受容体の発見を追加するべきである。
廣瀬座長:「五感」とうことばは一般にわかりやすく良い言葉であるが、報告書における定義はこれでよいか。その他コメントについては事務局に連絡することとしたい。
8.報告書3章について事務局より説明。
【主な質疑応答】
廣瀬座長:実現イメージの分類については、枠組み的には従来の情報通信のフレームワークと同じであるが、このフレームワークを五感に拡大していくことが必要である。実現イメージの1〜3については縦方向への積み重ねが必要であり、4については縦方向だけでは不十分で、他の感覚も必要ということである。ここでは、分類することよりも具体的なイメージで魅力的なものを提示していくことが重要である。また。具体的な実現イメージ提示の順序はこれでよいか。
事務局:医療・福祉が最初でよいか考えている。
廣瀬座長:そういう意味では、安全・危機管理を教育・訓練の前に持ってきたほうがよいのではないか。具体的実現イメージの並べ方により読者は五感情報通信のイメージを持つので、提示の順番は重要である。VRにおいてもエンターテイメントとして捕らえられがちであったが、安全管理などのイメージを強調したという経緯がある。社会的ニーズに即した提示順序がよい。
池井座長代理:テレビ電話の延長のようなイメージはないのか。
廣瀬座長:エンターテイメントに含まれるのではないか。触れる電話、匂いの出るテレビなど、従来のメタファと関連付けやすいイメージを提示するとよい。
池井座長代理:エンターテイメントというくくりは適切か。日常生活に利用されるものとしての扱いが必要である。
廣瀬座長:「家庭」、「生活」といったキーワードがよいのではないか。
事務局:提示の順序については事務局でも議論となった。4章との関連を取る必要がある。
土井構成員:オンラインショッピングは現在既にあるので、五感を特徴づけるネーミングが必要である。健常者も状況によりにわか障害者になることがあるので、ナビゲーションを福祉に限定しすぎると汎用に持っていきにくくなる。
廣瀬座長:これまでの福祉は特殊なものと考えられていたが、今後は一般化していくことが重要であり、社会現象の中に取り込むことが必要である。
池井座長代理:ユニバーサルサポート、ユニバーサルメディアということか。
廣瀬座長:報告書の中で使われている用語が一般的過ぎる。五感情報通信ならではの用語を使用し、新規性をアピールする必要がある。
土井構成員:たとえば、「ランドマーク」は視覚偏重の言葉であり、多くの情報を持っていることを示すものとして、「五感ランドマーク」とするほうがよい。ユニバーサルナビゲーションという言葉もある。
廣瀬座長:五感情報通信特有の用語がないものについては、「五感」という言葉を頭につける。用語に自己説明力を持たせる必要がある。
9. 報告書第4章につき事務局より説明。
【主な質疑応答】
畚野構成員:報告書第1章の「はじめに」で、情報通信の役割、重要性について述べ、五感情報通信と結びつくことによる効果、今後の新しい展開を印象付ける必要がある。
廣瀬座長:産業的にアピールするのか、実現イメージとして生活に密着した形でアピールするのか。
畚野構成:ITと結びつけることにより、社会に役立つ影響が出てくる。
中山構成員:タイトル・コンセプトを考えるときに、プロジェクトを視野に入れた場合、「五感」以外のコンセプト、ネーミングの余地も残しておくほうが今後の展開がしやすいのではないか。
廣瀬座長:今後開催される委員会において新たな領域についてフュージョンすればよいのではないか。五感情報通信の共通認識を持つための報告書としての役割は果たしている。五感情報通信は情報通信の枠ではおさまりきらないテーマである。研究会は自由な情報交換の場としての位置付けである。
事務局:情報交換の場としては、メンバーを固定した研究会の形式とワークショップの形式のどちらがよいか。
森泉構成員:米国では目標が明確なプロジェクトが多い。2〜3年程度の小規模な具体的プロジェクトを頻繁に立ち上げるという方法が好ましい。「五感」を基本とするテーマを一定のサイクルで行えるのがよい。プロジェクトが大きくなると、一般的になり効果があがらない場合が多い。
事務局:場の提供があってから、具体的プロジェクトが出てくると考えている。プロジェクトの前段階としての場の提供を考えている。
森泉構成員:そのアプローチで正しいのではないか。1年で複数のプロジェクトが立ち上がることが好ましい。五感情報通信の分野においては、同時にいろいろなことをやらないと包括的な成果が見えてこない。
畚野構成員:いくつかのテーマを出して、優先順位をつけるのがよいのではないか。
廣瀬座長:五感情報通信の研究を今後責任を持ってできるのは、今回のメンバー以外には考えられない。ファンディングに関係のないグループとして議論し、その中から出てきたわかりやすいテーマに予算がつくという流れがよいのではないか。場を一般に対しオープンにするのは良いが、責任を持つメンバーとオブザーバという体制がよい。目的を共有する人の集まりである必要がある。
畚野構成員:基礎研究については既存のファンディングを使うことで構わないが、五感情報通信の研究については総務省が予算をつけるべきではないか。
事務局:総務省だけでなく科学技術振興調整費など幅広く予算を活用していきたい。目的意識を共有できるような場を提供していきたい。
森泉構成員:具体的実現イメージの中の遠隔手術は、触覚と通信技術が不可欠であり、具体的なテーマとして挙げられる。
廣瀬座長:この場は、作戦会議の場といえるのではないか。
廣瀬座長:以上、頂いた意見を踏まえ、今後の報告書の修正は座長にご一任頂き、事務局と調整していくこととする。
事務局:ただいまの意見を踏まえ、報告書を修正することとしたい。
10. B 報告書(案)概要について
11. 報告書概要について事務局より説明。
【主な質疑応答】
廣瀬座長:研究開発の方策について「国が中心となって。。。」の部分については、もう少し踏み込んだ記述が必要である。
事務局:先ほどの議論にそって修正する。
土井構成員:作戦会議というよりは、戦略会議といったほうがよい。
廣瀬座長:研究推進体制の図で、総務省の位置付けが不明確。プロジェクトとの関係を明確にするべきではないか。
畚野構成員:よいテーマについては、総務省が担当するべきではないか。
事務局:関係省庁との間で責任を分散しすぎているということか。
土井構成員:検討に当たってはテーマを決めて、集中討議の場も必要。1日程度の時間をかけて、具体的なアクションアイテムが出てくるくらいまで議論できることが重要で
ある。
廣瀬座長:どのように場の魅力を持たせるかがポイントだと考える。
森泉構成員:米国の場合、プロジェクトを開始する際に1〜2日程度の関係者による集中討議がもたれる。人が実際に集まり、集中討議することが重要である。募集を行う場合は、海外からもアプライできるような体制にすることが、国際的強調の観点からも好ましい。
中山構成員:戦略会議の次の段階として、プロジェクトの抽出の場が必要である。
12.その他
議論を踏まえ修正した報告書は、メールおよび郵便で送付する。内容につき7月上旬〜中旬に報道発表する予定である。
13.田中技術総括審議官、広瀬座長より研究会終了の挨拶があった。
http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/chousa/gokan/010629_1.htm
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