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五感情報通信技術に関する調査研究会(第1回) 議事要旨

1 日 時:平成12年11月22日() 14001630
2 場 所:郵政省 第2特別会議室(3F)

3 出席者(順不同、敬称略)  

座 長:廣瀬(東京大)  

構成員:
阿部(東京大:代理 松本)
池井(都立科技大)
池口(アーニスサウンドテクノロジーズ)
片桐(ATR)
小宮(資生堂)
阪田(NEC)
佐々木(東京大)
澤野(高砂香料)
土井(東芝)
鳥居(味の素:代理木村)
中山(CRL)
西条(富山医科薬科大)
平原(NTT)、広田(東京大)
森泉(東工大:代理 中本)
安田(東京大)  
 
事務局:
田中技術総括審議官       
松井課長、
島田課長補佐、
瀬戸下係長、
小川(技術政策課)

4 配布資料  
資料1−1 「五感情報通信技術に関する調査研究会」開催要綱  
資料1−2 五感情報通信技術に関する調査研究会の進め方について(案)  
資料1−3 五感情報通信技術のイメージ  
資料1−4−1 五感情報通信技術の研究・技術動向  
資料1−4−2 関連新聞記事(澤野構成員)  
資料1−4−3 音を聴くしくみ(平原構成員)  
資料1−4−4 符号化技術の展望(安田構成員)  
資料1−4−5 電子情報通信学会論文誌(土井構成員)  
資料1−5 今後の審議スケジュール  
参考資料  情報通信研究開発基本計画(電気通信技術審議会答申(平成12228)

5 議事の概要

(1)
 開会
(2)
 技術総括審議官挨拶
(3)
 座長の選出、座長代理の指名    

開催要綱に基づき、座長には、廣瀬構成員が選出された。    

座長代理には、池井構成員が指名された。

(4)
 議事   

@ 研究会の進め方について 事務局より資料1−1及び資料1−2に基づき説明。資料に沿った方向で議 論を進めていくこととした。  
A 研究会の公開について    
本研究会の議事は原則公開することとし、議事要旨をホームページ上に公開することについて承認された。  
B 五感情報技術の研究・技術動向について   
ア 事務局より、資料1−3に基づき、五感情報通信技術のイメージについて説明。   
イ 自己紹介と、互いのフィールドの情報交換を兼ね、各構成員より研究内容術の動向等について下記のとおり紹介があった。

(紹介順) 廣瀬座長: バーチャルリアリティ(VR)技術の動向について

VRについて研究をしている。VRでは、あたかもそこにいるかのような感じをどこまでコンピュータテクノロジーで創出できるのかというのが課題となる。五感通信でいえば、VRはどちらかといえば再生側になるだろう。

 

現在は、郵政省が整備したギガビットネットワークを使い、仮想空間同士をつなぐプロジェクト(MVL)を実施している。これは、現在までに確立され た技術を使っているもので、五感で言えば二感ぐらいを通信するものと言える。 これを、五感に拡張し、いろいろな感覚を通信メディアに取り込んでいくこと がこの研究会の目標となろう。

夢のような話であるが、技術的にはある程度の シナリオはできていてどこを補強すれば実現するかというレベルになっていると思う。  

安田構成員: 符号化技術の展望について 符号化について研究をしている。現在議論されていることは、画像にも新しい機能を付けようということである。まずは、大画面が必要である。こうする とカメラを動かさなくても良い。機能としては、視線一致の検出は ほぼ うまくできるようになってきている。視線一致を知り画面を大きくしていくと、どんどん、今、対面で人間がやっていることに近づいてくる。視線の違いがわかるコ ーディングを実現したい。

大画面では、見たところを見たいように画面が動かせれば面白い。以上のようなコーディング+コントロールが現在の議論の対象 となっている。また、特徴を抽出して著作権に結びつける技術を研究している。 五感を表現できる符号化が求められており皆さんと一緒に取り組んでいきたい と考えている。

阿部構成員(代理:松本氏): 味の受容・応答の分子メカニズムの解析について味覚情報伝達について研究している。味覚の受容と脳での認識の仕組みについて分子のレベルで解き明かすことが目標。味覚とは学術的に言えば、口腔内の化学物質が味蕾という器官で受容されて生じる化学感覚のこと。味の違いは、 味蕾の中の味を受容する分子の多様性によって分類・集約されていると考えられている。

近年多くの味を受容する分子群が同定されるなど、研究が進んでお り、これらの知見を活かし、味物質を工学的にデザインすることで、新しい味 覚工学への展開が期待されている。また、神経への伝達の仕組みが解明されれば、神経を刺激することで疑似味覚を誘起できるのではないかと考えている。これにより病気等により味覚を失った人にも疑似味覚が実現できれば、生活の向上にもつながる。  

池井構成員: 触覚情報に関する研究についてバーチャルリアリティーとしての触覚の再現を中心に取り組んでおり、皮膚 感覚のための触覚ディスプレイを作っている。触覚とは、大きく分けて、皮膚感覚として、皮膚表面に分布しているセンサーで物理的な情報を感じるもの、 関節や筋肉で対象物から受ける合力としての力を感じるものに分けられるが、自身は、表面の特性、特につるつる・ざらざらというテクスチャの情報を表現 する装置を作っている。

90
年代の最初の頃からこのような装置が作られており、最近では、更に詳しい表面の摩擦やテクスチャの情報をどうやってをどう表現するかが議論になっている。 触覚の提示装置は色々なものが試験的に作られており、エアジェットや電気刺激等は、60年代くらいから感覚を失った方への感覚代行手段として用いら れてきた。私が取り組んでいるものは、ピンを並べて振動させテクスチャを表現するものである

最近は対象物に画像を投影してなぞれるようにしたり、振動だけでなく手応えと一緒に表現するようなものも作っている。さらに心理学上の影響も調べている。また触覚関係のライブラリーをつくっており、これが情報通信には役立つだろう。現在はこれらのXML化にも取り組んでいる。

池口構成員: アーニスサウンドテクノロジーズ社の事業概要についてアーニスとは森羅のローマ字を逆に綴ったもの。森羅万象を音で表現することを目指している。2つのスピーカやヘッドホンで立体音響を作ることができる技術を企業化し、1年前に会社を設立した。これまで大阪で、ヘッドホンで春夏秋冬の海の立体音響を体験する装置を納入している。立体音響のデモを次回以降にご紹介できればと考えている。  

片桐構成員: 五感情報通信の研究動向についてマルチモーダルな情報を使って人間がどういったことをしているかということと、その知見を利用して新しいコミュニケーションの技術ができないかということについて取り組んでいる。コミュニケーションとは自者と他者がある種の共感できるような世界を作ることが目的であり、従来の情報伝達から共感世界の構築という観点から研究を行っている。

TV会議システムを使う際にまず電話をかけてからシステムを使用したり、 精密な画像でもフレームレートが落ちると不自然な印象を与え、話していることの内容さえ伝わりにくくなるという話があるように、技術が頑張ってもなかなか臨場感は出てこない。

コミュニケーションの中で人間の周辺的に流れている情報が大事だろう。まず人間が何をしているのかを調べることが大事だと考えている。テクノロジーとしては、インタラクティブなものを作ると没入感があって良いと思う。例えば、VRで走ったり歩いたりする感覚を共有したりすることをしている。また、人間とロボットとの共生として、ロボットとコミュニケーションをとって仲良くするためにはどうしたらよいのかという研究もしている。

小宮構成員: 資生堂デジタルメディアクリエーション室概要等について所属するデジタルメディアクリエーション室は、資生堂webの管理、CG製作装置の開発を行っている。例えば、オンライン上でカウンセリングやシミュレーションを行う装置を作っており、これは将来的にはデジタル化粧への展開が期待できる。テレビ電話が発達した時に、画像上に化粧を施すことが可能になると考えている。

以前はヒューマンメディア研究所と称し、ヒューマンの研究もしており、そういう意味では今回の話と近いのではないかと思う。五感通信については、インターネット上で効率よく通信品質を保つことが大きな課題ではないかと考えている。五感情報を広帯域インターネットあるいは携帯インターネット上でどのように通信できるのかというのが課題になるだろう。  

佐々木構成員: 行為の記述について心理学の中のアフォーダンスを専門にしている。これは簡単に定義すると、行為がプロセス化する環境である。日常的な行為には大変な複雑さと発達性があり、これをどんなふうに記述するかとうことをテーマにしている。運動を記述するということは、どんな日常的な運動でもいくつかの下位運動をどう関連づけるかという問題を解いているのではないかと考えている。

運動研究の最近の動向も、身体を単一としてみるのではなく、いくつかの下位のシステムの関係する場所としての観点となっている。このような関係付けの過程にアフォーダンス、環境の性質が見えてくるだろうと思っている。この研究会で問題になる五感についても、これまでは別々に考えられていたものをどう関連づけるかということが知覚なのではないかという発想があると思う。運動の発達、行為の発達、環境の意味を発見する過程では、いくつかの要素をうまく混合していくということが重要なのではないか。  

澤野構成員: ヒト身体の匂い研究について香料の抗菌性について研究している。抗菌剤として合成殺菌剤がたくさん使われているが、もう少し穏やかな抗菌性を持つものがないかとうことで、研究している。また、体からはどのような臭いがでているのかについて研究している。体臭を及ぼす物質の同定、香りによるマスキングについて研究している。

人の体臭には皮膚微生物も関与していることから、皮膚微生物と体臭との関係 についても研究している。さらに香りの生理心理作用、沈静・覚醒作用について研究しており、自律神経系に及ぼす香りの影響として、指温回復率と香りの関係についても研究を始めている。

土井構成員: ヒューマンインターフェース技術について20年ほどヒューマンインターフェースについて研究している。コミュニケーションには、環境に関しても共有することが必要だろうと考えている。人間の生理・行動、あるいは位置という情報が重要になっていくだろう。ディスプ レイを意識しないで、人間に関わる情報環境をうまくセンシングして提供していきたいと考えている。

現在、近赤外線を使ったセンサーを用いたジェスチャー処理装置、視線の動きを使って対話の主導権をやりとりするシステム等を研究している。また、ウェアラブルオーサリングシステムとして、カメラの映像に音声のコメントを入力し、自動的にXMLで記述して、webのページを作るというシステムを開発し、生体計測に役立てる試みもしている。

サービスとしては、道案内システムが提供されている。将来は、車椅子の方のために道路の段差の情報を伝える等きめ細かいサービスの提供を目指している。このようにコミュニケーションにはもっと環境の情報が必要である。これによりユーザの状況に合わせたサービスが提供できるようになるのではないか。  

中山構成員: 通信総合研究所けいはんな情報通信融合研究センターについて当研究所(CRL)が、五感情報通信の研究分野をいかに担当していくか、そのためにどういうシステムを用意しているかについて説明する。

CRLでは、これまで各所で研究を行ってきたが、これらを統合し、けいはんな研究センター を設置。CRLでは情報通信の研究を行う上で、大枠として、下位のレイヤ、即ちネットワークといった通信システムの研究と、ヒューマンインターフェースやコンテンツといった、その上位にあるものの研究を大きな両輪と考えている。

コミュニケーションの技術を人間を中心とした視点から作ろうというということを目標としており、融合と名が付いているとおり、産学官の結びつき役を果たしたいと考えている。

西条構成員: 大脳辺縁系の機能に関する研究について生理学の立場から、脳内でどのような感覚情報がどのように処理されているか、また脳内の情報処理の結果どのような出力が出されるかについて研究している。すなわち、生理学はどのような入力情報を脳が処理しているのか明らかにし、情報通信技術にとって有用なデータを提供することができる。

また、自律神経反応を含めてどのような出力が出されるか分かれば、情報通信技術が生体に与える効果を評価できる。当教室ではとくに大脳辺縁系の領域の研究をしている。ここは、五感の情報が全て集まるところであり、状況を判断し、過去の記憶と照合し価値判断等をするところである。

この機能を調べるために、動物やヒトの神経細胞の働きを調べたり、色々な刺激を与えて、神経心理学的な研究を行ったり、脳波を測定 したり、MRIで脳内の活動を調べたりしている。その結果、人の顔に選択的に応答するような神経細胞や、対象物に対していろんな刺激に応答するような ニューロンが大脳辺縁系にあることが分かった。

また、外界の状況に応答する神経細胞もあることが分かった。このように脳内には、五感に関する情報の知識が記憶として蓄えられている。したがって再生技術として、感覚ディスプレイ以外にも神経細胞を直接刺激することにより情報を再生できる。この様な装置ができれば感覚器が障害されたヒトにも情報を伝達することができ、人工内耳が実用化されている。また、将来的に大脳皮質の神経細胞を直接刺激できる方法が開発されれば、より少ない情報量で情報を伝達できる可能性がある。

平原構成員: 音を聴くしくみについて聴覚の研究をしている。我々の耳には、音がどこから聞こえているのか、聞こえてきた音を聞き分ける他に、コミュニケーション音の処理、発声の安定化アテンションや感情を喚起する機能がある。音を処理している側頭葉の聴覚野でどう処理されているかについては、まだよく分かっていないことが多い。

これまでに分かったことは、外界の様子を把握したり相手が伝えようとしているメッセージを解読するための脳内の情報は、単に再現しているのではなくて、取り込んだ音から我々の脳が作り出しているということ。

また、常に変化 している音の環境の中でうまく目的とする音を捕まえるために、聴覚系の処理は、例えば大きな音の時は感度を下げるといったような下位の処理レベルから上位の処理レベルまで全てアダプティブになっている。こうした色々な耳の仕組みを機械にのせるときは、我々が聴覚系内または脳内で音を処理している仕組みを参考にしないとなかなか我々が感じているような動きをしない。

広田構成員: 力覚情報通信について力覚情報通信を研究している。ロボットを操作して遠隔物体を操作する技術があるが、これを進め、あたかもその場にいるような感じで操作する技術や、VRとして、仮想空間の触力覚の提示技術や、それを共有する技術が研究されている。さらに1台の計算機の中だけでなく、ネットワークを使い仮想空間を接続し、力覚情報を共有することが考えられている。

幾つかの研究課題があり、力覚の提示技術ではハードウェアとソフトウェアの開発が挙げられる。ハードウェアは最近市販のものが出てきている。また、力覚のモデル構築技術、力覚情報伝達技術が挙げられる。力覚の伝送には伝送の遅れを小さくすることが特に求められるだろう。

森泉構成員(代理:中本氏): 匂いセンシングシステムの研究について 匂いのセンサについて研究している。匂いセンサとして水晶振動子センサを用い、特性の違う複数のセンサ出力をパターン認識を用いて認識する研究、ま た、匂いを認識するLSIの設計・試作を行い、小型の匂いセンサを作る研究、匂い源探知・可視化に関する研究等を行っている。

本研究会に関連のあるテーマとしては、アクティブセンシングによる匂いの記録・再生に関する研究が挙げられる。これは、対象臭をセンシングし、要素臭の調合比(レシピ)を決定し、レシピに基づき要素臭をブレンドすることで 臭いの再生をするものである。まず、対象臭をセンサに入れ、その応答を記録する。

次に、センサ応答パタンが一致するまで、ブレンダの要素臭調合比を調整し、レシピを決定するものである。リンゴ臭は比較的単純な要素で表現できるため、これを用いて研究を行っている。

C 今後の審議スケジュール 事務局より、資料1−5に基づき説明し、資料に沿ったスケジュールで進めていくこととした。  

D その他次回会合は、平成12年12月11日(月)14:00から開催することとした

るのかというのが課題となる。五感通信でいえば、VRはどちらかといえば再生側になるだろう。

現在は、郵政省が整備したギガビットネットワークを使い、仮想空間同士をつなぐプロジェクト(MVL)を実施している。これは、現在までに確立され た技術を使っているもので、五感で言えば二感ぐらいを通信するものと言える。 これを、五感に拡張し、いろいろな感覚を通信メディアに取り込んでいくこと がこの研究会の目標となろう。

夢のような話であるが、技術的にはある程度の シナリオはできていてどこを補強すれば実現するかというレベルになっていると思う。  

安田構成員: 符号化技術の展望について 符号化について研究をしている。現在議論されていることは、画像にも新しい機能を付けようということである。まずは、大画面が必要である。こうする とカメラを動かさなくても良い。機能としては、視線一致の検出は ほぼ うまくできるようになってきている。視線一致を知り画面を大きくしていくと、どんどん、今、対面で人間がやっていることに近づいてくる。視線の違いがわかるコ ーディングを実現したい。

大画面では、見たところを見たいように画面が動かせれば面白い。以上のようなコーディング+コントロールが現在の議論の対象 となっている。また、特徴を抽出して著作権に結びつける技術を研究している。 五感を表現できる符号化が求められており皆さんと一緒に取り組んでいきたい と考えている。  

阿部構成員(代理:松本氏):
味の受容・応答の分子メカニズムの解析について味覚情報伝達について研究している。味覚の受容と脳での認識の仕組みにつ いて分子のレベルで解き明かすことが目標。味覚とは学術的に言えば、口腔内 の化学物質が味蕾という器官で受容されて生じる化学感覚のこと。味の違いは、 味蕾の中の味を受容する分子の多様性によって分類・集約されていると考えられている。

近年多くの味を受容する分子群が同定されるなど、研究が進んでお り、これらの知見を活かし、味物質を工学的にデザインすることで、新しい味 覚工学への展開が期待されている。また、神経への伝達の仕組みが解明されれば、神経を刺激することで疑似味 覚を誘起できるのではないかと考えている。これにより病気等により味覚を失った人にも疑似味覚が実現できれば、生活の向上にもつながる。  

池井構成員: 触覚情報に関する研究についてバーチャルリアリティーとしての触覚の再現を中心に取り組んでおり、皮膚 感覚のための触覚ディスプレイを作っている。触覚とは、大きく分けて、皮膚感覚として、皮膚表面に分布しているセンサーで物理的な情報を感じるもの、 関節や筋肉で対象物から受ける合力としての力を感じるものに分けられるが、自身は、表面の特性、特につるつる・ざらざらというテクスチャの情報を表現 する装置を作っている。

90年代の最初の頃からこのような装置が作られており、最近では、更に詳しい表面の摩擦やテクスチャの情報をどうやってをどう表現 するかが議論になっている。 触覚の提示装置は色々なものが試験的に作られており、エアジェットや電気 刺激等は、60年代くらいから感覚を失った方への感覚代行手段として用いら れてきた。私が取り組んでいるものは、ピンを並べて振動させテクスチャを表現するものである

最近は対象物に画像を投影してなぞれるようにしたり、振動だけでなく手応えと一緒に表現するようなものも作っている。さらに心理学上の影響も調べている。また触覚関係のライブラリーをつくっており、これが情報通信には役立つだろう。現在はこれらのXML化にも取り組んでいる。

池口構成員: アーニスサウンドテクノロジーズ社の事業概要についてアーニスとは森羅のローマ字を逆に綴ったもの。森羅万象を音で表現することを目指している。2つのスピーカやヘッドホンで立体音響を作ることができる技術を企業化し、1年前に会社を設立した。これまで大阪で、ヘッドホンで春夏秋冬の海の立体音響を体験する装置を納入している。立体音響のデモを次回以降にご紹介できればと考えている。  

片桐構成員: 五感情報通信の研究動向についてマルチモーダルな情報を使って人間がどういったことをしているかということと、その知見を利用して新しいコミュニケーションの技術ができないかということについて取り組んでいる。コミュニケーションとは自者と他者がある種の共感できるような世界を作ることが目的であり、従来の情報伝達から共感世界の構築という観点から研究を行っている。

TV会議システムを使う際にまず電話をかけてからシステムを使用したり、 精密な画像でもフレームレートが落ちると不自然な印象を与え、話していることの内容さえ伝わりにくくなるという話があるように、技術が頑張ってもなかなか臨場感は出てこない。

コミュニケーションの中で人間の周辺的に流れている情報が大事だろう。まず人間が何をしているのかを調べることが大事だと考えている。テクノロジーとしては、インタラクティブなものを作ると没入感があって良いと思う。例えば、VRで走ったり歩いたりする感覚を共有したりすることを している。また、人間とロボットとの共生として、ロボットとコミュニケーションをとって仲良くするためにはどうしたらよいのかという研究もしている。

小宮構成員: 資生堂デジタルメディアクリエーション室概要等について所属するデジタルメディアクリエーション室は、資生堂webの管理、CG製作装置の開発を行っている。例えば、オンライン上でカウンセリングやシミュレーションを行う装置を作っており、これは将来的にはデジタル化粧への展開が期待できる。テレビ電話が発達した時に、画像上に化粧を施すことが可能になると考えている。   

 

以前はヒューマンメディア研究所と称し、ヒューマンの研究もしており、そういう意味では今回の話と近いのではないかと思う。五感通信については、インターネット上で効率よく通信品質を保つことが大きな課題ではないかと考えている。五感情報を広帯域インターネットあるいは携帯インターネット上でどのように通信できるのかというのが課題になるだろう。  

佐々木構成員: 行為の記述について心理学の中のアフォーダンスを専門にしている。これは簡単に定義すると、行為がプロセス化する環境である。日常的な行為には大変な複雑さと発達性があり、これをどんなふうに記述するかとうことをテーマにしている。運動を記述するということは、どんな日常的な運動でもいくつかの下位運動をどう関連づけるかという問題を解いているのではないかと考えている。

運動研究の最近の動向も、身体を単一としてみるのではなく、いくつかの下位のシステムの関係する場所としての観点となっている。このような関係付けの過程にアフォーダンス、環境の性質が見えてくるだろうと思っている。この研究会で問題になる五感についても、これまでは別々に考えられていたものをどう関連づけるかということが知覚なのではないかという発想があると 思う。運動の発達、行為の発達、環境の意味を発見する過程では、いくつかの   要素をうまく混合していくということが重要なのではないか。  

澤野構成員: ヒト身体の匂い研究について香料の抗菌性について研究している。抗菌剤として合成殺菌剤がたくさん使われているが、もう少し穏やかな抗菌性を持つものがないかとうことで、研究している。また、体からはどのような臭いがでているのかについて研究している。体臭を及ぼす物質の同定、香りによるマスキングについて研究している。

人の体臭には皮膚微生物も関与していることから、皮膚微生物と体臭との関係 についても研究している。さらに香りの生理心理作用、沈静・覚醒作用について研究しており、自律神経系に及ぼす香りの影響として、指温回復率と香りの関係についても研究を始めている。  

土井構成員:
ヒューマンインターフェース技術について20年ほどヒューマンインターフェースについて研究している。コミュニケーションには、環境に関しても共有することが必要だろうと考えている。人間の生理・行動、あるいは位置という情報が重要になっていくだろう。ディスプ レイを意識しないで、人間に関わる情報環境をうまくセンシングして提供していきたいと考えている。

現在、近赤外線を使ったセンサーを用いたジェスチャー処理装置、視線の動きを使って対話の主導権をやりとりするシステム等を研究している。また、ウェアラブルオーサリングシステムとして、カメラの映像に音声のコメントを入力し、自動的にXMLで記述して、webのページを作るというシステムを開発し、生体計測に役立てる試みもしている。

サービスとしては、道案内システムが提供されている。将来は、車椅子の方のために道路の段差の情報を伝える等きめ細かいサービスの提供を目指している。このようにコミュニケーションにはもっと環境の情報が必要である。これによりユーザの状況に合わせたサービスが提供できるようになるのではないか。  

中山構成員: 通信総合研究所けいは んな情報通信融合研究センターについて当研究所(CRL)が、五感情報通信の研究分野をいかに担当していくか、そのためにどういうシステムを用意しているかについて説明する。CRLでは、これまで各所で研究を行ってきたが、これらを統合し、けいはんなに研究センター を設置。CRLでは情報通信の研究を行う上で、大枠として、下位のレイヤ、即ちネットワークといった通信システムの研究と、ヒューマンインターフェースやコンテンツといった、その上位にあるものの研究を大きな両輪と考えている。

コミュニケーションの技術を人間を中心とした視点から作ろうというということを目標としており、融合と名が付いているとおり、産学官の結びつき役を果たしたいと考えている。  

西条構成員: 大脳辺縁系の機能に関する研究について生理学の立場から、脳内でどのような感覚情報がどのように処理されているか、また脳内の情報処理の結果どのような出力が出されるかについて研究している。すなわち、生理学はどのような入力情報を脳が処理しているのか明らかにし、情報通信技術にとって有用なデータを提供することができる。

また、自律神経反応を含めてどのような出力が出されるか分かれば、情報通信技術が生体に与える効果を評価できる。当教室ではとくに大脳辺縁系の領域の研究をしている。ここは、五感の情報が全て集まるところであり、状況を判断し、過去の記憶と照合し価値判断等をするところである。

この機能を調べるために、動物やヒトの神経細胞の働きを調べたり、色々な刺激を与えて、神経心理学的な研究を行ったり、脳波を測定 したり、MRIで脳内の活動を調べたりしている。その結果、人の顔に選択的に応答するような神経細胞や、対象物に対していろんな刺激に応答するような ニューロンが大脳辺縁系にあることが分かった。

また、外界の状況に応答する神経細胞もあることが分かった。このように脳内には、五感に関する情報の知識が記憶として蓄えられている。したがって再生技術として、感覚ディスプレイ以外にも神経細胞を直接刺激することにより情報を再生できる。この様な装置ができれば感覚器が障害されたヒトにも情報を伝達することができ、人工内耳が実用化されている。また、将来的に大脳皮質の神経細胞を直接刺激できる方法が開発されれば、より少ない情報量で情報を伝達できる可能性がある。

平原構成員: 音を聴くしくみについて聴覚の研究をしている。我々の耳には、音がどこから聞こえているのか、聞こえてきた音を聞き分ける他に、コミュニケーション音の処理、発声の安定化アテンションや感情を喚起する機能がある。音を処理している側頭葉の聴覚野でどう処理されているかについては、まだよく分かっていないことが多い。

これまでに分かったことは、外界の様子を把握したり相手が伝えようとしているメッセージを解読するための脳内の情報は、単に再現しているのではなくて、取り込んだ音から我々の脳が作り出しているということ。また、常に変化 している音の環境の中でうまく目的とする音を捕まえるために、聴覚系の処理は、例えば大きな音の時は感度を下げるといったような下位の処理レベルから上位の処理レベルまで全てアダプティブになっている。こうした色々な耳の仕組みを機械にのせるときは、我々が聴覚系内または脳内で音を処理している仕組みを参考にしないとなかなか我々が感じているよう   な動きをしない。  

広田構成員: 力覚情報通信について力覚情報通信を研究している。ロボットを操作して遠隔物体を操作する技術があるが、これを進め、あたかもその場にいるような感じで操作する技術や、VRとして、仮想空間の触力覚の提示技術や、それを共有する技術が研究されている。さらに1台の計算機の中だけでなく、ネットワークを使い仮想空間を接続し、力覚情報を共有することが考えられている。

幾つかの研究課題があり、力覚の提示技術ではハードウェアとソフトウェアの開発が挙げられる。ハードウェアは最近市販のものが出てきている。また、力覚のモデル構築技術、力覚情報伝達技術が挙げられる。力覚の伝送には伝送の遅れを小さくすることが特に求められるだろう。

森泉構成員(代理:中本氏): 匂いセンシングシステムの研究について 匂いのセンサについて研究している。匂いセンサとして水晶振動子センサを用い、特性の違う複数のセンサ出力をパターン認識を用いて認識する研究、ま た、匂いを認識するLSIの設計・試作を行い、小型の匂いセンサを作る研究、匂い源探知・可視化に関する研究等を行っている。

本研究会に関連のあるテーマとしては、アクティブセンシングによる匂いの 記録・再生に関する研究が挙げられる。これは、対象臭をセンシングし、要素 臭の調合比(レシピ)を決定し、レシピに基づき要素臭をブレンドすることで 臭いの再生をするものである。まず、対象臭をセンサに入れ、その応答を記録 する。

次に、センサ応答パタンが一致するまで、ブレンダの要素臭調合比を調整し、レシピを決定するものである。リンゴ臭は比較的単純な要素で表現できるため、これを用いて研究を行っている。  

C 今後の審議スケジュール 事務局より、資料1−5に基づき説明し、資料に沿ったスケジュールで進めていくこととした。  

D その他次回会合は、平成12年12月11日(月)14:00から開催することとした


http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/japanese/group/tsusin/01122x01.html


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  上記は下記の資料を解りやすいようにまとめたものです。

↓↓↓総務省が出している「五感情報に関する資料です。


五感情報通信技術に関する調査研究会

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